海技従事者
カテゴリー:用語説明
更新日:2022-05-23
2021-11-19
投稿者: osumi
海技従事者
「海技従事者」とは、海技士や小型船舶操縦士の有資格者のことです。
海技士や小型船舶操縦士は、船舶職員及び小型船舶操縦者法に基づいた国家資格です。
日本の領海内で日本人が船舶を操縦するためには、海技士や小型船舶操縦士の免許が必要です。
海技士
海技士は、総トン数20トン以上の大型船舶を操縦するのに必要な免許です。
小型船舶操縦士
小型船舶操縦士は、総トン数20トン未満の小型船舶を操縦するのに必要な免許です。
海技士国家試験
海技士の免許を取得するためには、海技士国家試験に合格する必要があります。
海技士国家試験の内容は、筆記試験・身体検査・口述試験から成ります。
さらに合格後、海技免許の区分に応じた海技免許講習の課程を修了しなければなりません。
海技士は、航海(甲板部)・機関(機関部)・通信(無線部)・電子通信(無線部)で構成されます。
海技士試験詳細出典:「試験科目細目」(国土交通省)(2021年11月19日閲覧)
URL:https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_tk10_000023.html
航海(甲板部)
甲板部は主に、見張りや舵とり・荷物の積みおろし・船体や甲板機器の保守整備などを担当します。
航海(甲板部)は、航行区域や船舶の大きさによって区分される1級~6級海技士と、
船橋当直3級海技士があります。
船橋当直3級海技士は、ブリッジで船舶の安全航行を監視する運航士のことです。
機関(機関部)
機関部は主に、機関の運転や点検・整備・修理などを担当します。
機関(機関部)は、航行区域や推進機関の出力によって区分される1級~6級海技士と、
機関当直3級海技士があります。
機関当直3級海技士は、船舶内の機関が正常に機能しているかを監視する当直のことです。
さらに、航行区域や内燃機関の出力によって区分される内燃機関2級~6級海技士があります。
通信(無線部)
通信(無線部)は主に、船舶の通信業務を担います。
通信(無線部)は、1級~3級海技士に区分されます。
航行区域・船舶の大きさ・国際航海への従事に加え、
旅客船であれば、旅客定員数
漁船であれば、インマルサット無線設備の有無・電気通信業務の取り扱いの有無により区分されます。
1級海技士(通信)の資格と、海技士 (電子通信)の資格の関係
そのため1級海技士(通信)は、
海技士 (電子通信)が出来る全ての業務に従事することが可能です。
電子通信(無線部)
電子通信(無線部)主に、船舶の電子通信業務を担います。
電子通信(無線部)は、1級~4級海技士に区分されます。
無線電信等の保守の有無や保守の種類(陸上保守・船上保守)に加え、
漁船であれば、インマルサット無線設備の有無により区分されます。
電子通信(無線部)における航行区域
1999年(平成11年)1月31日に、モールス信号が廃止され、
翌日から海上における遭難及び安全の世界的制度(GMDSS)に完全移行しました。
海上における遭難及び安全の世界的制度(GMDSS)では、
船舶に搭載する装置を、独自の航行区域(A1海域~A4海域)によって設定しています。
そのため、電子通信(無線部)においても、海上における遭難及び安全の世界的制度(GMDSS)による航行区域(A1海域~A4海域)を用いています。
船舶職員の兼任
原則として、一人の船舶職員は他の船舶職員を兼任できません。
しかし、この海技士(電子通信)の船舶職員が、甲板部や機関部の海技士免許を持っている場合は兼任することができます。
これは、1級海技士(通信)の資格と海技士 (電子通信)の資格の関係から、1級海技士(通信)の船舶職員にも適用されます。
主に甲板部職員と兼任する事例が多いです。
海技士の受験資格
出典:「海技士国家試験」(国土交通省)(2021年11月19日閲覧)
URL:https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_tk10_000023.html
乗船履歴
海技士の受験には、乗船履歴が必要です。
例えば、6級海技士の受験には、 総トン数5トン以上の船舶に2年以上の乗船履歴が必要です。
6級海技士第1種養成施設です。
6級海技士第1種養成施設
6級海技士第1種養成施設では、船員の業務経験が全くない方を対象に短期集中の養成教育を実施しています。
養成教育の期間は、4.5ヵ月間です。
この教育課程を修了すると、6級海技士国家試験の受験に必要な乗船履歴が6ヶ月となります。
さらに、海技士国家試験の筆記試験が免除されます。
6ヶ月間の乗船履歴を積めば、身体検査のみで海技士国家試験を受験することができます。
実習を通して
船員としての実務キャリアを形成できます
6級海技士第2種養成施設です。
海技士国家試験の筆記試験が免除されマス
小型船舶操縦士
小型船舶操縦士の免許取得方法
小型船舶操縦士の免許を取得する方法は2つあります。
受験コースと教習コースです。
受験コース
受験コースは、小型船舶操縦士国家試験を直接受験する方法です。
教習コース
教習コースは、登録小型船舶教習所において一定期間講習を受講した後、学科及び実技修了試験を受験する方法です。
登録小型船舶教習所において実施される学科及び実技修了試験は、国家試験と同等の内容のものです。
合格すれば国家試験の学科と実技が免除されます。
小型船舶操縦士の免許の種類
小型船舶操縦士の免許は、 1級小型船舶操縦士、2級小型船舶操縦士、2級小型船舶操縦士(湖川小出力限定)、特殊小型船舶操縦士に分かれています。
1級小型船舶操縦士
20トン未満の船舶で、すべての海域を航行区域とする免許です。
六級海技士(機関)以上を有する機関長の
乗船が必要デス。
2級小型船舶操縦士
20トン未満の船舶で、沿岸区域を航行区域とする免許です。
沿岸区域
平水区域および海岸から5海里以内の近海区域で、小型船舶安全規則にて規定されています。
2級小型船舶操縦士(湖川小出力限定)
5トン未満の船舶で、かつエンジンの出力が15kw未満の船舶の免許です。
航行区域は、湖・川及び指定水域の近海区域となっています。
特殊小型船舶操縦士
水上オートバイ専用の免許です。
航行区域は、陸岸から2海里以内の近海区域を航行区域となっています。
特定操縦免許
人を運送する旅客船や遊漁船などの小型船舶の船長に必要な免許です。
小型旅客安全講習
特定操縦免許の取得には、小型旅客安全講習の受講が必要です。
小型旅客安全講習は、海難発生時における措置・救命設備の取扱等に関する講習です。
特定操縦免許も取得済みの扱いです。
受講の必要はないよ。
申請は必要デス!
特定漁船能力限定
令和2年(2020年)7月1日から、一定の基準に適合する特定漁船が、船舶職員及び小型船舶操縦者法上の小型船舶となりました。
この小型船舶の範囲の見直しに伴って、1級小型船舶操縦士及び2級小型船舶操縦士の免許には、特定漁船能力限定が付さることとなりました。
登録特定漁船講習
特定漁船能力限定の解除には、登録特定漁船講習を受講後、申請が必要となります。
登録特定漁船講習は、特定漁船の運航やディーゼル機関の運転に関する業務を行うために必要な知識及び技能を修得するための講習です。
001351747出典:「小型船舶操縦免許証の表示が変わります!」(国土交通省)(2021年11月19日閲覧)
URL:https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_mn10_000002.html
まとめ
参考
六級海技士短期養成コースの紹介(国土交通省)(2021年11月19日閲覧)
URL:https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_tk9_000005.html