洋上風力発電
カテゴリー:用語説明
2022-04-28
投稿者: osumi
洋上風力発電とは
洋上風力発電(ようじょうふうりょくはつでん) とは、主に海洋上における風力発電のことです。
日本での洋上風力発電
日本初の洋上風力発電
日本初の洋上風力発電は、2010年3月に稼働しました。
「株式会社ウィンド・パワー・いばらき」が、 茨城県神栖市・鹿島港南海浜地区に建設した洋上風力発電が日本初でした。
参考:「茨城県の外海に、日本で初めて建った本格的洋上風力発電所」(茨城県HP内)
しかし、日本ではコスト面や技術面の問題もあり、なかなか導入が進んできませんでした。
政府の洋上風力発電への取り組み
「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」
2018年11月、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」が成立しました。
海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に関し、関係者との調整の仕組みを定めつつ、海域の長期にわたる占用が可能となる法律です。
2019年4月、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」が施行されました。
「促進地域」の発表
2019年12月、経済産業省と国土交通省は、
「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」に基づき
長崎県五島市沖を初の「促進区域」に指定し、2020年6月から事業者の公募を開始しました。
「促進地域」とは、洋上風力発電の整備を優先的に進める区域です。
さらに2020年7月には、秋田県能代市・三種町及び男鹿市沖、秋田県由利本荘市沖、千葉県銚子市沖についても「促進区域」に指定しました。
これらの地域についても、2020年11月から事業者の公募を開始しました。
洋上風力発電所整備の拠点となる港湾
2020年9月、国土交通省は、上記「促進地域」である4区域の場所への洋上風力発電所整備の拠点となる港湾を発表しました。
洋上風力発電の導入促進には、洋上風力発電設備の設置や維持管理のため、一定の耐荷重を備える岸壁や長大な資機材を取り扱うことが可能な規模の背後地といった機能を備えた港湾が必要不可欠だからです。
指定されたのは、能代港(秋田)、秋田港(秋田)、鹿島港(茨城)、北九州港(福岡)の4港です。
これらの港湾では、発電所を建設する際に必要な資材の積み下ろしなどで利用する埠頭を、国が事業者に対して長期間貸し付けることが可能となります。
「洋上風力産業ビジョン(第1次)」
このように準備を進めてきた政府ですが、
温室効果ガスの排出量における取組みにおいて、世界の約120カ国が「50年実質ゼロ」を掲げるなか、日本の目標は「50年までに80%削減」にとどまっていました。
そんな中2020年10月、菅義偉首相が、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「2050年カーボンニュートラル」を所信表明しました。
これを受け、2020年12月政府は「洋上風力産業ビジョン(第1次)」をまとめました。
vision_first_overview「洋上風力産業ビジョン(第1次) 概要」(出典:資源エネルギー庁ウェブサイト)
3つの目標
「洋上風力産業ビジョン(第1次)」では、3つの目標が掲げられました。
導入目標と、産業界による国内調達・コスト低減目標です。
導入目標は、「魅力的な国内市場の創出に政府としてコミットし、国内外からの投資の呼び水とすることが重要。」と考え明示されました。
産業界による国内調達・コスト低減目標は、
「国内外から投資を呼び込み、競争力があり強靱なサプライチェーンを形成するため」に設定されました。
具体的には以下の通りです。
導入目標
「政府は、年間100万kW程度の区域指定を10年継続し、2030年までに1,000万kW、2040年までに浮体式も含む3,000万kW~4,500万kWの案件を形成する。」
国内調達目標
「産業界は、国内調達比率を2040年までに60%にする。」
コスト低減目標
「産業界は、着床式の発電コストを、2030~2035年までに、8~9円/kWhにする。」
今後の発展
アジア展開も見据えた次世代技術開発
政府は、この「洋上風力産業ビジョン(第1次)」のなかで
「今後の展開としては、競争力を高めつつ、将来的には市場拡大が見込まれるアジアへの展開も目指す。」
としています。